盛山和夫によるエスノメソドロジー紹介

エスノメソドロジーという言葉は,もともと日常生活者が社会学者に負けず劣らず社会学的概念を構築しつつ日常的世界を秩序づけているさまを分析する研究として名称であったが,しだいに自らを日常生活者の概念世界とは異なる「客観的」な地平に立って行う研究だと位置づけるようになった.その方法としてとられたのが会話分析である.エスノメソドロジーの観点からは,会話こそは,人びとが日常生活を秩序づけている仕方についてのもっとも直接的で紛れのない経験的資料なのである.このため,会話はニュアンスやイントネーションや途切れや重なりなど含めてできるだけ「正確」に記録されなければならない.その「正確な記録」へのこだわりは,通常の素朴実証主義的な社会調査をはるかに凌ぐものだが,そこには,経験的な方法こそが客観的な認識への唯一の道だという信念がある.
(盛山 2012: 18)

盛山和夫,2012,「公共社会学とは何か」盛山和夫上野千鶴子・武川省吾編『公共社会学――リスク・市民社会・公共性』東京大学出版会,11-30.

ご参考:前田泰樹・水川喜文・岡田光弘編,2007,『ワードマップエスノメソドロジー――人びとの実践から学ぶ』新曜社

エスノメソドロジー―人びとの実践から学ぶ (ワードマップ)

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エスノメソドロジーと科学実践の社会学

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