大嶽秀夫,2017,『フェミニストたちの政治史』東京大学出版会.

本書には細かいミスが散見され,また著者がジェンダー研究などについて理解が不十分ではないかと疑わせるような点も
多々ある.何点か気づいた点を述べる.これ以外にもさまざま問題な問題がある書であると思う.

p. 81
第二次大戦後は第二はフェミニズムの予兆が,解放された女性,モダン・ガール,短い髪,「ルーズな生活」(emancipated women,
flapper dress, short hair and "loose living")という生活スタイルの面で表現された.
⇒flapper dressなどは第一次大戦後の話.

p. 110
私的なことを長時間おしゃべりするというのは,女性たちに広くみられる経験でもあり,嗜好にもかなう
⇒女性ならば特定の嗜好を共有する,という前提をおいている.これは大嶽の偏見ではないのか?

p. 115
代わって,本当のマイノリティによる運動,例えばゲイの運動が活発化した.
⇒本当のマイノリティとはだれか?大嶽が決めることができるものなのか?

p. 213-4
歌手のアグネス・チャンが大学での講演に幼児を連れてきたこと(「子連れ出勤」)に対し,
⇒職場に連れて行ったのでは?

p. 246
2004年に大きな力を発揮し,イラクの刑務所問題で大統領支持率が50%以下に急落し,落選する可能性が高かったレーガンの再選を救った.
レーガンではなく,ブッシュ(子).