『公共社会学――リスク・市民社会・公共性』

盛山和夫上野千鶴子・武川省吾編,2012,『公共社会学――リスク・市民社会・公共性』東京大学出版会

  • I 公共社会学の理論
    • 1 公共社会学とは何か 盛山和夫
    • 2 公共性の歴史的転換 佐藤健二
      • 1 問いかけとしての「公共圏」と「市民社会
      • 2 「市民+社会」で捉えようとしたものの歴史的地層
      • 3 ことばの「身体性」と「社会性」
    • 3 信頼と社会関係資本――コールマンの分析的公共社会学 瀧川裕貴
      • 1 コールマン社会理論における2つの規範理論
      • 2 交換理論の基本枠組み
      • 3 権利に関する合意はいかにして可能か
      • 4 権利の合意理論から社会関係資本の理論へ
    • 4 システム合理性の公共社会学――ルーマン理論の規範性 三谷武司
      • 1 規範主義からの距離化
      • 2 機能主義における方法と理論
      • 3 システム合理性という評価概念
      • 4 経験科学と規範科学の分断状況の克服という問題軸
    • 5 責任の社会学――自然主義的アプローチをめぐって 常松淳
  • II 市民社会の公共性
    • 6 〈実践知〉としての公共性――阪神・淡路大震災の自立支援 似田貝香門
      • 1 自立支援と市民社会
      • 2 1960-70年代の住民運動の「公共性」の実践的-理論的視点
      • 3 1990年代以降の〈公共性〉の実践的-理論的視点
    • 7 市民的公共性と芸術――市民社会における再現前的公共性 宮本直美
      • 1 ハーバーマスにおける芸術と公共圏
      • 2 再現前的公共性と芸術
      • 3 交響曲における2つの公共性
      • 4 芸術の自律性と公共性
    • 8 多民族社会における高等教育の公共性――マレーシアにおける国家と民間 吉野耕作
    • 9 世俗社会における宗教と公共性――ハーバーマスの宗教論をめぐって 飯島祐介
      • 1 問題の所在
      • 2 宗教の公共的役割の再考構想/哲学的立場の再構築
      • 3 宗教に学ぶ姿勢
      • 4 民主政治のアクターとしての宗教
      • 5 開かれた中立性の困難/合理化論の困難
    • 10 現代中国における儒学的公共性 李永晶
      • 1 公共性という現代中国への視座
      • 2 現代中国における公共性原理の構造転換
      • 3 1990年代以降の中国における儒学の社会化と政治家
      • 4 儒学的公共性の構造
  • III テクノサイエンス・リスクのゆくえ
    • 11 テクノサイエンス・リスクと知的公共財 松本三和夫
      • 1 問題設定――個人の肩入れと公共性
      • 2 公共財としての科学技術――知的公共財のジレンマ
      • 3 公共社会学と半公共財の悲劇――知的公共財のジレンマのあらわれ方
      • 4 テクノサイエンス・リスクの社会学的含意
    • 12 原子力発電所をめぐる公共性と地域性 寿楽浩太
      • 1 はじめに:等閑視される「公共性」――原子力発電所立地問題
      • 2 「民意」を軸にした自体の変容――新潟県巻町における原子力発電所立地中止事例
      • 3 住民投票の意義――公共性の復権
      • 4 実質的な意思決定と法制度上の意思決定の位相のずれ――既成事実化批判
      • 5 技術の特性に対する予断と公共性――法制度設計への影響と公共的討議
      • 6 まとめ:エネルギー施設立地の意思決定の課題――公共性の真の復権とは
    • 13 ダイオキシン論争の分析――政治性に対する政治的な批判を超えて 定松淳
    • 14 環境問題における批判的科学ネットワーク――長良川河口堰問題の1970年代と1990年代 立石裕二
      • 1 環境運動と科学の関係の両義性
      • 2 長良川河口堰問題とは何か
      • 3 専門への限定と争点への限定
      • 4 科学と環境運動の間の距離
      • 5 重なり合う科学と環境運動
      • 6 批判的科学ネットワークと環境問題における公共性