ナンシー・フレイザー『中断された正義』  欠落

p.26
承認の主張は,パフォーマティヴに創出するというのではないとしても,ある集団の一般に認められている個別性に注目し,その価値を肯定するという形をとることが多い(一例としてはジェンダーによる労働分業体制を廃絶しようとするフェミニストの要求が挙げられる).このように,承認の主張は集団の脱差異化を奨励する.

カッコの前に一文が訳されていない.ジェンダーによる労働分業体制を廃絶しようとするフェミニストの要求は,承認ではなく再配分の主張である.

Redistribution claims, in contrast, often call for abolishing economic arrangements that underpin group specificity. p.16
それに対して,再配分の主張はしばしば集団の個別性を支えている経済的配置の廃止を必要とする.

それゆえ,承認の主張が集団の脱差異化を奨励するのではなく,再配分の主張がそうするのだ.